フィッシュ サーフボード がおすすめな理由
フィッシュボードは、その名のとおり魚のヒレのようなデザインと幅広の全体的に厚みのある丸みを帯びた形状が特徴的で、オルタナティブボードの代名詞的存在として知られています。
サイズのない波にも向いていて、操作性が高いので、適切なサイズ選びをすれば初級者の方でも比較的扱いが楽なボードです。
その特徴や歴史、デザイン上のメリットや選び方についてご紹介したいと思います。
1. フィッシュの特徴(シェイプ的な特徴)
フィッシュボードは長い歴史の中で進化し続けています。現代においては大きく三つにわかれると言われています。
レトロフィッシュ(もしくはサンディエゴフィッシュ)
フィッシュボードが開発され広く認識された時代とほぼ同様のままで、オリジナルのフィッシュボードデザインの性質を受け継ぐもの。
モダンフィッシュ
前述のレトロフィッシュを基にして、現代のシェーパーが操作性を向上させるためのデザイン上のモディフィケーションが加えられたもの。
ハイパフォーマンスフィッシュ
最新のショートボードデザインにフィッシュの要素を取り入れたものです。デザインの基本はショートボードであり、テールやボトムなどにフィッシュデザイン的モディフィケーションを加えたものです。
フィッシュといえばだいたい前者2つを指すことが多いと思います。
レトロでもモダンでも、外観的な最大の特徴は、テール部分の深い切れ込みでしょう。いわゆるピンテールのショートボードのピンの部分の中央に深くカットが入っていて、テールが左右対称の魚のヒレのような形状をしています。通常のその左右各々のヒレにフィンがセットされています。見方によっては、真ん中で分かれて左右に独立したピンテールがついていると見ることもできると思います。
レールやテールは全体的に厚めで幅が広く、ショートボードよりもボリュームがあるので浮力が高くなります。
ノーズは丸みを帯びて、ロッカーは比較的フラットなものがその典型といえるでしょう。
2. フィンセットアップ
ツインセットが基本的セッティングです。一般的に多く見られるのは左右のヒレ状のテールに一枚ずつ、左右のツインセットが典型的なフィッシュのセッティングで、基本的にはキールフィンが直進性を保持しつつ、加速性を損なわないので、ボードの特性には合っていると思われます。
Vee、チャンネル、コンケーブ等ボトム形状のデザインによるスピード性能と加速性とともに高い操作性を兼ね備えているので、レール・トゥー・レールの切り替えの速さやピボット性能やカット性能を活かすにはツインセットが標準的な選択肢であると思います。
もちろん、クアッドやトライなどマルチフィンの採用も考えられます。
縦のラインのアクションやタイトなターンや鋭角的なカットがしやすくなります。また、センターフィンを追加することで、高い操作性による不安定さが抑えられて直進性が高くなるように感じられます。
3. フィッシュの歴史
最初にフィッシュデザインを世に送り出したのは、1964年頃サンディエゴのニーボーダーであるスティーブ・リズであるとされています。それがいわゆるレトロフィッシュです。サンディエゴフィッシュとも言われます。
映像も併せてご覧ください。
もちろんそれ以前にフィッシュのデザイン的期限とも言えるボードは存在します。広めのテールにツインフィン、シングルコンケーブからVEEにつながるボトム、緩めのロッカーなどのある50年代のボブ・シモンズによるデザインはその一例であると言ってよいと思います。
リズのレトロフィッシュ以降、70年代にはディビッド・ヌーヴァ、スキップ・フライなど多くの愛好家サーファー/シェーパーたちがフォイル、ロッカー、レールなどを自分のライディングスタイルや波の特性に合わせた変更を加えながら、フィッシュのデザインコンセプトを取り入れたボードを作り出して来ました。
サイモン・アンダーソンのスラスター、マーク・リチャーズのツインなど、80年代を席巻したショートボードデザインにも、フィッシュデザインを基にしたボトム形状やレール、テールデザインなどが積極的に採用され、彼らが大きな成功を収めることで、より多くのショートボードデザインにその影響を与えるようになりました。
実際に、フィッシュデザインが取り入れられたボードは、レール・トウ・レールの切り替えが軽く、早く、スムーズなものになっています。また、重心の置き方によってボードスピードのコントロールができるのはロングボードに近い感覚があり、一枚のボードでサーフボードデザインがたどってきた歴史的な感覚を楽しむことができるのは大変面白いものですし、大きな魅力だといえるでしょう。
またアル・メリックやショーン・ステューシなど2枚のフィンを基調にそれぞれのデザインを生み出しており、今日に至っています。
4. フィッシュの利点
そのボード特性によって様々なメリットが得られています。
加速性とスピード性能
幅が広めでボリュームがあるので浮力が高く、重心の捉え方で波のコンディションを選ばずに高い加速性が得られます。比較的フラットなロッカーと厚めのレールにより、ターンやカットにおいてもスピードが落ちづらい。
パドルとテイクオフ
ボード形状と浮力により、ショートボードに比べて安定していてスピードが出やすいので、パドリングが楽で、テイクオフも早くなります。またパワーのないマッシーな波(波の斜面が穏緩やかで厚い波)でもテイクオフがしやすいので、幅広い波のコンディションでのサーフィンが可能です。
汎用性
本来掘れたでパワフルなリーフブレイクでのライディングを意識してデザインされたフィッシュですから、サーファーの技術とシェイプによってはサイズのあるホローで速い波でのライディングに向いているのはもちろん、中級/初級クラスのサーファーにとってはそのボード特性(浮力や安定性、スピード性能)によってサイズのない遅い波でも楽しむことができます。
5. サイズの選び方
初級者がフィッシュを選ぶ場合、ボード特性の中でも安定性やパドルテイクオフのしやすさにポイントを置くと、結果的に幅の広いコンディションでのサーフィンが楽しむことができます。
まず、選ぶ上でのチェックポイントを挙げてみましょう。
幅は広め
比較的厚さのあるもの
ロッカーがフラットに近いもの
長さに関して明確な基準はありませんが、一般的に平均的な経験値のサーファーで、身長に対して平均的な体重であれば、伝統的なフィッシュボードは身長より2インチ(5cm)~6インチ(15cm)ほど短いボードがよいと言われています。
初級者や短いサーフボードに慣れていない方は、長さがあるほうが安定と加速性が得られるので長めのものを選ぶほうがいいと思います。
フィンセッティングはツイン、トライ、クアッドどれでも好みで選んでいいと思いますが、フィッシュというボード特性を感じたい場合にはやはりツインがいいと思います。
同じフィッシュデザインでも、テールの幅や厚みのあるもののほうが安定性と加速性が得られるのでレトロ、もしくはモダンフィッシュあたりを選ぶのがいいと思います。
ハイパフォーンマンスはある程度の技量が伴ってこないとその特性を活かすのは難しいでしょう。
まとめ
ボードデザインとして古い歴史のあるフィッシュは、デザインも進化を遂げていて、より幅広い波のコンディションに対応するものになっています。サイズのない、掘れていない、力の無い波にも対応する感覚は、時にロングボードに近いものを感じさせるものだと言えると思いますし、サーファーの技術次第でサイズのある波にも対応できることは証明済みだといえるでしょう。
様々な波質やライディングスタイルに対応する汎用性の高いボードであり、ロングボーダーであっても、ショートボーダーであっても、それぞれが普段乗っているボードとは違った感覚が楽しめるもので、セカンドボードとして持つ価値のあるボードだと思います。
加えてテイクオフもしやすく、安定化もあるので、正しく選べば初心者にも扱いやすいボードだといえると思います。