アメリカのおすすめサーフィン映画4選
厳しい冬の寒さの中でも、天気に恵まれた日になら海に出ることは比較的難しくありませんが、曇天や雨模様の日や雪の日などには波のコンディションが良くても、結構勇気がいりますよね。
そういう日には、思い切って家でのんびりサーフィンにまつわる映画を観て、文化や歴史を映画を通して学んでみるのもいいかもしれません。
サーフィンの理解を深めたり、時にはどっぷりと映画に浸ってイメージトレーニングをしてみたり、そんな過ごし方をして下がりがちなテンションを上げてみてはどうでしょう?
1. 『ビッグウェンズデー』1978年公開(アメリカ)
ストーリーの概略
伝説の大波、ビッグウェンズデーにチャレンジする三人の若者たちが成長する姿を通して、60年代から70年代中ごろのベトナム戦争などを社会背景に持つアメリカ社会のひずみの中で青年から大人へと成長する苦悩や葛藤、そして新たな希望を描いた映画です。ジャン・マイケル・ビンセントの出世作でもあります。彼の波乗りのシーンではピーター・タウネンドが演じております。
見所/サーフィンにまつわる視点
劇中の三人はロングボードに乗っていますが、若き日のジェリー・ロペスが赤のショートボードで登場します。サーフシーンにおいてロングボードからショートボードへと時代のメインストリームが移っていった描写を見て取ることができます。
お勧めの理由
60年代から70年代にかけてのアメリカ社会における若者たちの様子や、ビーチシーンやボードなどサーフィン関連の道具がどんなものであったかに興味をある人には特にお勧めです。青年が大人へと変わっていく人生の情景に、ロングボードの時代が終わってショートボード全盛期へと移り変わっていくあたりのサーフィン界における時代の移り変わりが重なって感じることができると思います。
2. 『カリフォルニア・ドリーミング』1979年公開(アメリカ)
ストーリーの概略
70年代、南カリフォルニアのビーチを舞台に繰り広げられる青春群像が描かれています。
サーフィンやビーチシーンを中心に置いて、東部の都会からLAにやってきたひとりの青年が、最初は変人扱いされながらも、人とふれあい、理解を深めていくとともに南カリフォルニアのライフスタイルになじんでいく様子を通して、当時の若者文化や人間模様が丁寧に描かれています。
見所/サーフィンにまつわる視点
サーファー的目線に止まるのはショートボードが主流になったとはいえ、まだシェイプがロングボードのラインを踏襲していて、なによりシングルフィンであることじゃないでしょうか?今のボードと比べると、シェイプとしての厚さもボリュームやアートワークデザインもむしろロングボードに近いものが感じられると思います。
時代の描写として、劇中に流れているサーフィンムービーが何であったか、オールドサーファーならすぐにピンと来るかもしれません。
お勧めの理由
盲目的に新しいものや環境を受容し自分を変化させるのではなく、自分と自分を形作ってきた背景という軸は見失わずに、納得の行くものを取捨選択していくこと、
変化するのではなく成長と言う進化をするという感覚を持つことの大事さに気づくきっかけになるのではないでしょうか。
3. 『フリー・ライド』 1977年公開(アメリカ)
ストーリーの概略
いわゆる『サーフィンムービー』を代表する名作のひとつです。ジェリー・ロペスの次の世代であるラビット・バーソロミュー、ショーン・トムソン、マーク・リチャーズなどオーストラリアや南アフリカ、カリフォルニア出身の当時としては次世代を担う若い世代のサーファーがメインにフィーチャーされています。サーフィン映画として評価の高い映画であり、サウンドトラックも当時のニューウェイブロックの懐かしいサウンドと、パブロ・クルーズのいわゆるサーフニュージックが印象的で、映像音楽ともに時代の先端を描いたサーフィンムービーとしてよいと思います。
見所/サーフィンにまつわる視点
ロペスが世に放ったショートボードのインパクトに継いで、さらにボードデザインは進化し、マーク・リチャーズとショーン・トムソンがひとつの波を同時にライディングするカットと、ショーンのフラットボトムのシングルフィンとマークのVボトムのツインフィンという、それぞれのボードについて語り合う部分は特に印象的で、これから先の目覚しいボードの進化の歴史の始まりを予感させるものがあります。
お勧めの理由
ジェリー・ロペスの次の世代のサーファーたちが、世界各地からハワイのノースショアに進出して、プロとしてトップを競い合うようになる図式の確立と、その歴史的背景を感じ取ることができるのと同時に、サーフィンが全世界に認知され、スポーツとして、またカルチャーとして浸透していく歴史的経緯のボトムラインを見ることができると思います。
4. 『ソウル・サーファー』2011年公開(アメリカ)
ストーリーの概略
女子プロサーファー、ベサニー・ハミルトンの実話をもとにした映画です。両親ともにサーファーであり、ハワイで生まれ育った彼女は恵まれた環境と本人の努力と才能により13歳でその才能が認められ、リップカールがスポンサーにつくなど、将来を嘱望されたサーファーでした。ところが、シャークアタックにより幸運にも一命を取り留めるのですが、左腕を失ってしまいます。
そんな大怪我を負いながらもサメに襲われたショックによる恐怖心、片腕を失った失望感、それらを克服し、再びサーフィンを始めます。厳しいトレーニングを重ね、新たな身体条件でのサーフィンのテクニックを身につけ、努力の末に、再びボードの上に立ち上がったときの感動は胸を熱くするものがあります。
さらにコンテストに復帰し、不満足な結果から落胆のあまり一度はサーフィンを捨てようかと悩む彼女でしたが、あるボランティア活動をしながら、自分のサーフィンに新たな意味合いを発見します。
そして、プロになり、世界をそのパフォーマンスで魅了するばかりでなく、積極的にメディアを通して諦めない気持の強さと努力が勇気と希望へと導くこと訴えかけています。
見所/サーフィンにまつわる視点
誰しも、思わぬ人生の壁が立ち塞がる経験をすることはあると思います。
映画の中での、彼女の怪我からの復帰も、本人の気持の強さだけではなく、周囲の支えや協力なくしては叶わなかったでしょう。怪我や事故による恐怖心との対峙と克服のプロセス。サーフィンというスポーツを通して学ぶべきものとは何か。そういった、サーファーとして、スポーツをする者としてのメンタリティーを考えるきっかけになる映画だと思います。
お勧めの理由
好きなことから目を背けず、真摯に向き合うこと、投げ出さないことの大切さ。
努力や苦難の末につかめるものの本質とは何か?
もちろん、ハンディを背負ってサーフィンを続ける彼女の姿をみて、なんとなく諦めかけていたサーフィンを見直すきっかけにもなるかもしれません。
様々な角度から、非常に多くの示唆を得ることのできる良い映画だと思います。
まとめ
サーフィンやビーチの場面が出てくる映画を観ていると、なんとなく海に出たときの感覚が戻ってきて次に海に出るまでのモチベーションの維持に役立つのではないでしょうか。
また、海に出られない間のイメージトレーングも大事なことなので、お時間の許すときに、ご覧になってみててはいかがでしょう。