近年、サーフボード素材の革新的な選択肢として注目を集めているのがカーボンです。従来の素材とは一線を画す特性を持つカーボンサーフボードは、多くのサーファーにとって魅力的な存在となっています。しかし、その一方で、潜在的な課題も存在します。

本記事では、カーボンサーフボードの技術的な詳細を掘り下げ、メリットとデメリットを多角的に分析します。さらに、レベルやサーフィンスタイル、予算に合わせた最適なモデルの選び方、そして将来展望についても考察します。

1. カーボンサーフボードとは?

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カーボンサーフボードは、*カーボンクロスを巻いたサーフボードです。炭素繊維は、軽量かつ高強度、高弾性率という特異な性質を持つ素材であり、航空機や自動車などの先進技術分野においても広く用いられています。

*カーボンクロス:アクリル繊維を高音で焼き炭化させた繊維。

1.1 カーボンサーフボードの技術的特性

従来の素材と比較したカーボンサーフボードの主要な技術的特性は以下の通りです。

  • 軽量化:従来の素材よりも20~30%軽量化を実現。サーフボードの取り回しやパドリングの負担軽減、疲労抑制に貢献します。
  • 高強度:優れた引張強度と圧縮強度を有し、破損に対する耐久性が大幅に向上。サーフボードの寿命を延ばします。
  • 高反発:高い弾性率により、波のエネルギーを効率的に吸収し、より強力な推進力を生み出す。
  • 精密なコントロール性:軽量かつ高剛性な特性により、従来の素材よりも繊細なコントロール性を提供。ターンやライディングにおける精度の向上、表現力向上に貢献します。

2. カーボンサーフボードのメリット

上記の技術的特性に基づき、カーボンサーフボードのメリットを以下に詳細に分析します。

2.1. パフォーマンス向上

  • 軽量化による機動性の向上
  • 高強度による耐久性の向上
  • 高反発による加速性能の向上
  • 精密なコントロール性による操作性の向上

2.2 快適なサーフィン体験

  • 軽くて丈夫なため扱いやすい
  • 高いレスポンスによるダイナミックなサーフィンが可能

2.3. サステナビリティへの貢献

  • 長寿命によるサーフボード廃棄量の削減
  • 環境負荷低減素材の開発

まだ製品化には至っておりませんが、nanazeroは一般サーファーにとって最適なサーフボードを追求し、カーボンサーフボードのテストも繰り返し行っています。

3. カーボンサーフボードのデメリット

カーボンサーフボードはメリットも多いですが、デメリットもあります。この章ではカーボンサーフボードのデメリットをまとめました。

3.1. 高価な初期費用

炭素繊維は高価な素材であり、製造工程も複雑なため、従来の素材よりも高価な製品となります。

3.2. 扱い方の違い

軽量で高剛性な特性は、従来の素材とは異なる挙動をもたらします。そのため、カーボンサーフボード特有の乗り味に慣れるまで、時間と練習が必要となります。

3.3. 修理の難易度

炭素繊維の修理は、専門知識と技術を必要とするため、難易度の高い作業となります。

3.4 直射日光による熱のダメージ

炭素素材自体は熱に強く耐久性は高くなりますが、サーフボードの素材(EPSやPU)は炭素素材ほど熱に強くないため、剥離に繋がります。カーボンは黒色で直射日光による熱を集めやすいため、ビーチに置きっぱなしにしないなど対策が必要になります。

4. カーボンサーフボードの種類

カーボンサーフボードは、製造方法や構造によって3つのタイプに分類されます。

4.1. フルカーボン(カーボンラミネート)手巻き

世界中の各ブランドがフルカーボンと称しているのが、サーフボードに炭素繊維をラミネートしたタイプのサーフボードです。やり方は従来のグラスファイバーと同じように手巻きで行う方法とバキュームバッグで圧着する方法があります。

4.2 フルカーボン(カーボンラミネート)バキュームバッグ

サーフボードにカーボン素材をバキュームバッグで圧着させる方法です。バキュームバッグで圧着させる方法が頑丈・軽量となります。

4.3. カーボンストリンガー、カーボンラップ

ストリンガーにカーボンを使用したサーフボードもあります。様々な巻き方でサーフボードのフレックス性を高めることができます。木材の代わりにカーボンを使用したり、テール部分にカーボンラップを施すことで強度を高めつつ軽量化ができます。ただし、これらは一般的に通常のサーフボードとして分類されています。

5. カーボンサーフボードの選び方

最適なカーボンサーフボードを選ぶためには、以下の要素を考慮する必要があります。

5.1. 目的に合わせて選ぶ

フルカーボンのサーフボードは従来の素材とは乗り味が大きく異なるため、目的に合わせて選ぶようにしましょう。

5.2. サーフィンスタイル

各ブランドから様々なカーボンサーフボードが販売されていますが、サーフィンスタイルによって最適なサーフボードは変わってきます。競技のようなパフォーマンス性を求めるのであれば、薄くて軽いパフォーマンス用のカーボンボードがオススメです。

小波用であれば、いつものサーフボードより短く、ボリュームは大きいものを選ぶのがオススメです。

また最近はミッドレングスのカーボンサーフボードも増えてきているので、波キャッチもスムーズで軽くて丈夫なボードを探している方にはミッドレングスカーボンボードもおすすめです。

5.3. 予算

フルカーボンのサーフボードはショートボードで20万円〜30万円。ミッドレングスは30万円〜40万円が一般的な相場となっています。理由としてはカーボンクロスの原材料と、製造工程の複雑さにあります。

    6. カーボンサーフボードの将来展望

    近年、カーボンサーフボードの技術開発は加速しており、価格は徐々に低下傾向にあります。また、環境負荷低減への意識の高まりから、リサイクル可能な素材を用いたカーボンサーフボードの開発も進んでいます。今後はさらにカーボンボードの需要と供給は増えていくと予想されます。

    7. まとめ

    カーボンサーフボードは、従来の素材にはない多くのメリットを持つ魅力的な素材です。しかし、デメリットも存在するため、購入前にしっかりと理解しておくことが重要です。

    自分のレベルやサーフィンスタイル、予算に合ったカーボンサーフボードを選ぶことで、より快適なサーフィンを楽しむことができます。

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    記事を書いたヒト

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    ヒガシーサー(@higashisacom)サーフィン歴20年。独学で上達しなかった経験から、科学的メソッドに基づいて練習する方法を実践。たった3ヶ月で上達できた方法を一般サーファー向けに分かりやすく解説している。Instagram フォロワー数 34,000人、YouTube チャンネル登録者数 16,000人。ブログ:pocketsurf.jp
    2月 24, 2024