サーフィン中に耳に水が入ったとき、いちばん大事なのは耳の中に何も入れないことです。綿棒や耳かきで取ろうとしても、水は奥へ押し込まれ、耳の皮膚を傷めるだけで終わります。
水そのものは、しばらくすると自然に抜けていくもの。急いで取ろうとした結果のほうが、あとに残ります。
この記事では、やってはいけないことを先に整理します。そのうえで対処と予防、長く続けるなら知っておきたい「サーファーズイヤー」までまとめました。

先に、やってはいけないこと
綿棒を入れる
水を吸い取れそうに見えますが、実際には奥へ押し込むだけです。それだけでなく、耳の中の皮膚を傷つけます。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、外耳道の皮膚についてこう説明しています。「皮下組織が非常に薄く、刺激に弱いため、耳掃除などでも容易に炎症を起こしてしまい、かゆみを生じる原因となります」。掃除のつもりの動作でも、炎症の入口になります。
耳かきで掻く
かゆみや詰まった感じがあると触りたくなります。ここも同じで、薄い皮膚に傷をつけるだけです。水が抜けるわけでもありません。
強くたたく、耳を引っぱる
頭の横を強くたたいたり、耳を無理に引っぱったりするのも避けてください。水が出ないまま、耳に負担がかかります。
入った水はどうするか
耳を下に向けて、待つ
水が入った側の耳を下に向けて、頭を軽く動かします。それで出ないときは、少し前に体を倒してから、ゆっくり耳を下に向けてみてください。
それでも残っているなら、待つのがいちばん安全です。一般的には、外耳道に残った水は自然に抜けていくと言われています。気持ち悪さは残りますが、触らないほうが早く落ち着きます。
こういうときは耳鼻科へ
数日たっても詰まった感じが取れない。痛みが出てきた。耳だれがある。聞こえ方が変わった。このどれかがあれば、自分で対処せずに耳鼻咽喉科で診てもらってください。
同学会も、かゆみが治まらない場合や痛み・耳だれが生じる場合は耳鼻咽喉科での治療が必要だと示しています。
出典:一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「耳の症状」。2026年9月11日に確認しました。
なぜサーフィンだと入りやすいのか
プールで泳ぐのとは、水の当たり方が違います。ワイプアウトで顔から水面に叩きつけられたり、波にもみくちゃにされたり。勢いのついた水が耳に入ってきます。
耳の形には個人差もあります。同じ波を受けても入りやすい人と入りにくい人がいるのは、ここの差です。

もうひとつ、経験が関係する部分があります。私たちの感覚では、長く乗っている人ほど波にのまれる回数が減り、のまれ方も変わります。落ちる瞬間に顔をそむけたり、手で耳をふさいだりが自然にできるようになるからです。回数が減るぶん、水が入る機会も減ります。
入らないようにする方法
| 方法 | 向いている場面 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| サーフィン用の耳栓 | 毎回入る人、冷たい海に入る人 | 音が聞こえにくくなるので、周りの声や注意も届きにくい |
| 耳まで覆えるサーフハット | 日差しが強い日 | 波に取られることがあるので、あご紐のあるものを選ぶ |
| のまれるときに耳をふさぐ | 大きい波の日 | 身につくまで時間がかかる。板の位置の確認を優先する |
耳栓は、合わないと痛みが出たり、逆に外れて気になったりします。合うものが見つかるまで何種類か試すことになる、と考えておくと気が楽です。
長く続けるなら知っておきたい「サーファーズイヤー」
水が入るのは一時的な話ですが、こちらは年単位で進む話です。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の説明を引きます。
耳が海水と風で冷却されることで外耳道の骨が増殖し耳の穴が狭くなる「サーファーズイヤー」により外耳道が閉塞しやすくなることがあります。
ポイントは海水と風による冷えです。冷たい海に長く入る人ほど、関わりが深くなります。
穴が狭くなると、水や耳あかが抜けにくくなる。その結果として、詰まった感じや炎症が起きやすくなります。進み方はゆっくりで、自分では気づきにくいのが厄介なところです。
だから、耳を冷やさない工夫がそのまま予防になります。耳栓や耳まで覆えるフードは、水を防ぐだけでなく冷えも防いでいる。そして、気になることがあるうちに一度診てもらうほうが、選択肢は多く残ります。

よくある質問
耳に水が入ったまま寝ても平気ですか
詰まった感じだけなら、翌朝には落ち着いていることが多いです。ただし痛みや耳だれがある状態で様子を見るのは勧められません。その場合は受診してください。
海から上がったあと、耳は洗ったほうがいいですか
耳の中に水を流し込む必要はありません。外側を真水で流して、タオルで押さえて拭く程度で十分です。中に綿棒を入れるのは、ここでも避けてください。
耳栓をすると波の音が聞こえなくて危なくないですか
聞こえにくくなるのは確かです。混み合ったポイントでは、周りの声や板の音が届きにくくなります。人が多い日は視線での確認を増やす、というふうに使い方を変えるのが現実的です。
まとめ
耳に水が入ったら、耳を下に向けて待つ。綿棒と耳かきは入れない。痛み、耳だれ、聞こえ方の変化があれば耳鼻科へ。ここまでが当日の話です。
長く乗るなら、耳を冷やさないほうに意識を向けてください。サーファーズイヤーは海水と風の冷えで進みます。耳栓もフードも、水と冷えの両方を防いでいます。
※ この記事の対処法は一般的な目安です。症状には個人差があります。痛み、耳だれ、聞こえ方の変化、数日たっても取れない詰まった感じがある場合は、耳鼻咽喉科を受診してください。
この記事について
サーフィン初級者から20年以上のベテランサーファーまで在籍する「nanazero編集部」が企画・執筆を行いました。
この記事の根拠 外耳道の皮膚が刺激に弱いこと、受診の目安、サーファーズイヤーの仕組みは、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「耳の症状」で確かめました(2026年9月11日)。引用は原文どおりです。耳栓の使い勝手や、のまれ方が変わっていく感覚は、編集部が実際に海に入ってきた経験に基づきます。
文章校正や誤字脱字のチェックにAIを活用しています。サーフィンの経験・体験談は、編集部メンバーが実際に体験した一次情報です。編集部についてはこちらにまとめています。
