サーフィン中に津波警報が出たら、やることはひとつです。すぐに海から上がって、高台へ向かう。これだけです。
迷っている時間がいちばん危険です。気象庁は「沿岸部や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難してください」と示しています。海の上にいる私たちは、その沿岸部よりもさらに手前にいます。
この記事では、警報が出たときの動き方と、海に入る前にやっておけることを、気象庁の資料で確かめながら整理しました。

津波警報の3種類と、数字の意味
気象庁は地震が起きると、沿岸で予想される津波の高さを求め、地震の発生から約3分(一部の地震は約2分)を目標に発表します。区分は3つです。
| 区分 | 予想される最大波の高さ | 海にいる人がすること |
|---|---|---|
| 大津波警報 | 3mを超える(5m・10m・10m超で発表) | ただちに海から上がり、高台か避難ビルへ |
| 津波警報 | 1mを超え3m以下 | ただちに海から上がり、高台へ |
| 津波注意報 | 0.2m以上1m以下 | 海から上がる。解除後も海面変動が続くことがある |
出典:気象庁「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」。2026年9月11日に確認しました。
高さ1mでも、水の流れに巻き込まれれば立っていられません。注意報だから大丈夫、という区分ではありません。
第一波が最大とは限らない
ここがいちばん誤解されます。気象庁はこう書いています。
津波は繰り返し襲い、あとから来る波の方が高くなることがあるため、観測された津波が小さいからといって避難を止めてしまうと危険です。
最初の波が小さかったから終わった、とは考えられません。警報が解除されるまで、海には戻りません。
海に入っているときの動き方
気づく手段を用意しておく
海の上で地震の揺れを感じ取るのは、ほとんど無理です。だから「気づく」ところを道具と場所でつくっておきます。
緊急地震速報が届くスマートウォッチを着けていれば、警報より早く動き出せます。サイレンや津波フラッグのある海岸を選んでおくのも同じ考え方です。波音や風があると、防災無線の音は届きにくくなります。

ボードは移動の道具として使う
気づいたら、状況の判断に時間をかけずに岸へ向かってください。ボードに乗ってパドルするのが、いちばん速い移動手段になります。
ここで気をつけたいのは、ボードやウェットスーツを「浮いて助けを待つための道具」と考えないことです。津波で求められているのは、浮いて待つことではなく、水から出て高いところへ移ることです。ボードは岸に着くまでの移動手段として使います。
海水が引き始めるのを合図にするのも危険です。最初に押し寄せる形で来ることもあるからです。海面の変化は待たず、受け取った情報で動いてください。
周りにも声をかける
海の上には、まだ気づいていない人がいます。岸へ向かいながら、届く範囲で声をかけます。ひとりで知っている情報は、その場では役に立ちません。
岸に上がったあと
上がったら、そのまま高台か避難ビルへ。着替えや車の回収は後回しにしてください。
海岸沿いを走って移動するのは避けます。海から離れる方向へ動くのが原則です。避難したあとは自治体の指示に従い、警報が解除されるまで戻りません。
海に入る前にやっておけること
当日にできることは限られています。効くのは、入る前の準備です。
津波フラッグを覚えておく
赤と白の格子模様の旗です。大津波警報・津波警報・津波注意報が発表されたことを知らせるもので、令和2年6月から海水浴場などで使われています。音が聞き取りにくい海の上にいる人へ、目で伝えるための仕組みです。
見かけたら、内容を確かめる前に海から上がります。気象庁も「津波フラッグを見かけたら、速やかに避難を開始してください」と示しています。

出典:気象庁「津波フラッグ」。2026年9月11日に確認しました。
入る海の避難先を、先に見ておく
自治体のハザードマップで、その海岸の津波浸水想定区域と避難場所を確認します。地図で一度見ておくだけで、当日に迷う時間が減ります。
なお「ライフセーバーがいるビーチだから津波に強い」という関係はありません。監視の有無は、情報が早く届くかどうかの話です。津波そのものの危険度とは、切り離して考えてください。
居場所を伝えておく
どこの海に入るか、いつ帰る予定かを、家族か友人に伝えておきます。私たちも海に行くときは、これをやっています。予定が変わったら連絡を入れる。それだけです。

道具の状態を確かめておく
リーシュコードが切れていれば、ボードは手元から離れます。移動手段を失うということです。古いものは交換しておきます。点検と交換の頻度は、リーシュコードのガイドにまとめました。
スマートウォッチを使うなら、充電も前日に済ませておきます。
よくある質問
津波注意報なら、海に入っていても大丈夫ですか
海から上がってください。注意報は、予想される最大波の高さが0.2m以上1m以下の場合に発表されます。数字は小さく見えますが、流れの速さは高さだけでは決まりません。気象庁は、注意報の解除後も海面変動が続くときについても示しています。海に入っての作業や釣り、海水浴には十分な留意が必要だという内容です。
沖にいるほうが安全だと聞いたことがあります
沖へ向かう判断は勧められません。津波が危険になるのは浅いところですが、警報が出た時点で、どこが浅いのか、いつ収まるのかは沖からは分かりません。気象庁の指針は一貫しています。水から出て、高いところへ移ることです。
警報はどのくらいで出ますか
気象庁は、地震の発生から約3分(一部の地震は約2分)を目標に発表しています。ただし到達までの時間が3分より短い場所もあります。強い揺れや、長くゆっくりした揺れを感じたら、発表を待たずに海から上がるのが安全側の判断です。
まとめ
警報が出たら、海から上がって高台へ。判断はこれだけです。ボードは浮いて待つための道具ではなく、岸まで戻るための移動手段として使います。
第一波が最大とは限りません。小さい波を見て戻ってしまうのが、いちばん危ない行動です。
そして当日より前にできることのほうが多いです。津波フラッグを覚え、入る海の避難先を地図で見ておき、居場所を伝えておく。リーシュコードの状態も確かめておきます。
この記事について
サーフィン初級者から20年以上のベテランサーファーまで在籍する「nanazero編集部」が企画・執筆を行いました。
この記事の根拠 警報の区分と高さの基準、発表までの時間、津波フラッグの運用は、気象庁の資料で確かめました(2026年9月11日)。第一波が最大とは限らないという注意も同じ資料に基づきます。居場所を伝える習慣と道具の点検は、編集部が海に行くときに実際にやっていることです。
文章校正や誤字脱字のチェックにAIを活用しています。サーフィンの経験・体験談は、編集部メンバーが実際に体験した一次情報です。編集部についてはこちらにまとめています。
