プロサーファーとして競技の第一線で活躍し、現在は子育てとビジネス運営に専念する野呂玲花さん。かつてはショートボード一筋だった彼女が、今ではツインフィンやロングボードなど様々なサーフボードを使い分け、新たなサーフィンの楽しみ方を見つけています。「波のコンディションによってサーフボードを変えることで、サーフィンがより楽しく気持ちよくなる」という野呂さんの現在のサーフィン哲学について、詳しくお話を伺いました。
野呂玲花プロフィール:輝かしい競技実績から多彩なビジネス展開へ
競技の第一線で活躍した野呂玲花さん。現在は多様なサーフボードを使い分ける新しいスタイルを確立
野呂玲花さんは1994年12月13日生まれ、大阪府出身のプロサーファーです。中学1年生でサーフィンを始め、中学3年時に全日本サーフィン選手権で優勝という快挙を成し遂げました。高校1年でプロに転向し、2012年と2013年にはJPSA年間ランキング2位を2年連続で記録するなど、輝かしい競技実績を残しています。
2021年4月には前田マヒナ選手と共に吉本興業に所属。同年7月にプロサーファーの田中大貴さんと結婚し、12月24日に第一子となる娘ケイナちゃんを出産しました。現在は千葉北部の海から徒歩5分という理想的な環境で、家族と共にサーフィンライフを満喫しています。
自身のブランドを展開:起業家としての野呂玲花
現在の野呂さんは、競技活動を一時休止し、3つのビジネス運営と子育てに専念しています。
水着ブランド「Lueur.swim」
フランス語で「輝き」を意味するLueur.swimは、野呂さんが立ち上げた水着ブランドです。「すべての女性が水着を着て輝いてほしい」というコンセプトのもと、完全ハンドメイドで一つ一つ丁寧に製作。カリフォルニアでセレクトした生地を使用し、サーフィンの動きでも柔らかく動きやすいフィット感を実現しています。永続的な無料修理サービスも提供し、顧客との長期的な関係を大切にしています。
トレーニングジム「LUEUR Athletics」
千葉県一宮町で運営する「LUEUR Athletics」は、サーフィンに特化したトレーニングジムです。野呂さんと弟の野呂海利さんが直接指導にあたり、サーフィンのレベルアップを目指す人から一般のフィットネス目的まで幅広く対応。野呂さん自身も頻繁に利用し、2025年4月には「ヒップスラスト70kg」を達成するなど、ママになってもストイックなトレーニングを継続しています。
【インタビュー】競技から「楽しむサーフィン」への転換
――現在はどのようなサーフィンスタイルで海に入っていますか?
「今は試合はやっていないんですけど、ショートボード以外にもツインだったり、オルタナ系のボードにしたりして、サーフィンはやっぱり子育てがメインになるんですけど、その合間でやっています。」
――競技時代と比べて、サーフィンに対する考え方は変わりましたか?
「よし、海に入ろうってなった時に、あ、じゃあ今日は何のボードにするかなとか、そういうのを考えるようになったのが1番自分の中で変わったところです。ショートボードはもちろん、それ以外にオルタナのツインだったり、あとはロングボードも持っています。」
ポイント:競技時代はショートボード中心だった野呂さんが、現在は波のコンディションや気分に合わせて様々なサーフボードを使い分けるスタイルに変化。この変化が新たなサーフィンの楽しみ方を生み出している。
波のコンディション別サーフボード選択の哲学
――どのような基準でサーフボードを選んでいますか?
「波が小さい時はロングボードにして、なんか本当に波のコンディションによってサーフボードを変えるようになりました。自分が1番楽に気持ちよく乗れるサーフボードを見つけるのが好きで、そのサーフボードが見つかったら、じゃあそのサーフボードでどのコンディションだったらこのボードが合うかっていうのを次に見つける。それがコツです。順番です。」
野呂さんが実践するサーフボード選択プロセス
- 自分が楽に気持ちよく乗れるボードを見つける
- そのボードに最適なコンディションを把握する
- 波の状況に合わせてボードを選択する
このアプローチにより、毎回のサーフィンセッションが新鮮で楽しい体験となっています。
「楽しむサーフィン」の新しいマインドセット
――現在のサーフィンに対する考え方を教えてください
「今の時期は、こんなコンディションの時にこのボードもっといいよとか、自分の中でもっとオープンに、もう何でも。これはこういう波の時はこうしよう、じゃあこういう波の時はこうしよう。良くなかったらもう入らなくていいし、自分が気分が上がる時だけ入ればいいし、あとはやっぱり1人で入るよりも私は友達とワイワイ入ったりするのが好きなんで、常に友達に電話して、今日入るって電話して友達誘って、いろんなボードで楽しんでます。」
「楽しむサーフィン」の要素
- 柔軟なボード選択:波に合わせて最適なボードを選ぶ
- 無理をしない:気分が上がらない時は無理に入らない
- 仲間と楽しむ:友達と一緒にワイワイ楽しむスタイル
- 実験精神:様々なボードで新しい発見を楽しむ
子育てとサーフィンの両立:率直な体験談
3歳の娘ケイナちゃんの子育て中である野呂さんは、限られた時間の中でサーフィンを楽しんでいます。以前のインタビューでは子育ての困難さを率直に語り、「初めの2年間は毎晩泣いていた記憶しかない」「妊娠して、スポンサーがなくなり、試合にも出れなくなり、太っていく自分の身体にも自信がなくなり、自分の価値がなくなったように感じ、精神的にすごくしんどい時期がありました」と、多くのママサーファーが直面する現実を包み隠さず明かしました。
しかし同時に、「出産して自分の子供を見た時、自分が今までやってきたことの喜びや幸せを何百倍もこえた幸せってこの世にあるんだなと思いました」と、母親としての新たな幸福感も表現しています。
現在は夫の田中大貴さんと交代制でサーフィンを楽しみ、親のサポートも受けながら子育てとサーフィンの両立を実現。競技復帰については、「落ち着いたらしたいなとは思っていますが、落ち着いた時に娘がサーフィンしていたら、そっちの応援にまわってるかもしれませんね」と、娘の成長を見守る母親としての新たな視点も持つようになりました。
女性サーファーへのメッセージ:自分らしいスタイルを見つけよう
野呂さんの現在のサーフィン哲学は、「練習ではなく楽しむことが本当に1番の上達の鍵」というものです。競技時代は「試合のために毎日練習していた」という野呂さんですが、現在は大きな変化を遂げています。
野呂さんからのメッセージ:「サーフィンは色々な楽しみ方があって、人それぞれ色んなスタイルがあっていい。自分のサーフィンのスタイルを見つけて、自分だけのサーフィンスタイルを見つけてみてください。」
初心者におすすめのアプローチ
野呂さんのアプローチを参考にすると、サーフィンを始める際は以下のポイントが重要です:
- 安定性重視のボードから始める:まずは楽に気持ちよく乗れることを優先
- 一つのボードで様々な条件を試す:そのボードの特性を理解する
- 上達に合わせてボードを追加:新しい楽しみ方を発見
2025年の活動:新たなチャレンジと今後の展望
2025年5月には、スキンケアブランド「ハレカイ」のアンバサダーに就任し、活動の幅をさらに広げています。SNSでは@reikanoroのInstagramで、日常のトレーニング風景、家族との時間、ビジネス関連の情報を積極的に発信しています。
今後の目標について野呂さんは、「これからはサーフィンの色んな魅力を伝えられるサーファーになりたい」と語っています。競技者としては「あと長くて2、3年」と考えているものの、引退後もブランドとジムの運営を通じて、サーフィンカルチャーの発展に貢献し続ける意向です。
まとめ:サーフィンの新しい楽しみ方を発見しよう
野呂玲花さんのインタビューから見えてきたのは、競技のためのサーフィンから、純粋に楽しむためのサーフィンへの転換です。波のコンディションに合わせてサーフボードを変えることで、毎回違った新鮮な体験ができ、サーフィンがより楽しく気持ちよくなるという発見は、多くのサーファーにとって参考になるでしょう。
「自分が1番楽に気持ちよく乗れるサーフボードを見つける」という野呂さんのアプローチは、技術的な上達だけでなく、サーフィンという文化そのものを楽しむことの大切さを教えてくれます。
競技者として、起業家として、そして一人の母親として、野呂玲花さんは新たな「輝き」を放ち続けています。あなたも野呂さんのように、波のコンディションに合わせたサーフボード選びで、新しいサーフィンの楽しみ方を発見してみませんか?
野呂玲花さんの活動をチェック
野呂玲花さんの最新活動は以下でご覧いただけます:
- Instagram: @reikanoro
- 水着ブランド: Lueur.swim
- トレーニングジム: LUEUR Athletics