マジックボードとは?一般サーファーがマジックボードに出会う方法
実はマジックボードというサーフボードに出会う確率はゼロに近いです。
なぜなら、サーフボードはそれぞれのサイズや特徴が異なり、サーファーの体格や目的に合わせて選ぶ必要があるからです。
例えば、誰かが「このボードはマジックボードだ!」と宣伝していても、それは本人にとってそうであるだけで、誰にでも適したボードはありません。
したがって、初心者サーファーがボード選びで失敗しないためには、自分の体格や目的に合ったサーフボードを選ぶことが重要です。
このような正しい知識を持ってサーフボードを選ぶことで、マジックボードという言葉に惑わされることなく、自分に最適なボードを手に入れることができるでしょう。
1. マジックボードとは何か?
サーフボードを選ぶときによく言われている「マジックボード」とは、そのヒトにとってサーフィンの調子が良くなるサーフボードのことです。
誰にとっても調子が良いサーフボードをマジックボードと呼ぶのではなく、そのサーフボードに乗るヒトの価値観、サーフィンのレベル、サーフィンの環境や波質に合うサーフボードをマジックボードと呼んでいます。
つまり、マジックボードとはヒトそれぞれで違うよ!という前提条件があることを覚えておきましょう。
1.1 マジックボードと出会う方法
- 色んなサーフボードに乗ること
- 自分軸でサーフィンを楽しむ目的を見つけること
- 自分のサーフィンスタイルに適したサーフボードを探し続けること
マジックボードと出会うためには、ショート、ミッドレングス、ロング、シングルフィン、ツインフィン、PU製、EPS製、ソフトフォーム...色々なサーフボードに乗る必要があります。
例えばPU製のサーフボードに乗り続けたヒトが、EPS製サーフボードの良さを体験していないのに、ネットの情報だけで「EPSは乗りにくい」と思い込む事例は非常に多いです。
このように他人軸でサーフィンの価値観を刷り込まれているサーファーが非常に多く、間違った価値観やマジックボードのようなキャッチコピーに騙されて、サーフィンを楽しめていない一般サーファーも増えています。
ちなみに11回の世界チャンピオンであるケリー・スレーター氏も「マジックボードは今だに出会っていない」と言っていることから、マジックボードに出会うことは非常に困難であることが分かります。
1.2 他人が紹介するマジックボードに乗ると失敗する理由
- サーフィンレベルが違う
- サーフィンスキルが違う
- サーフィン環境が違う
他人が紹介しているマジックボードは、そのヒトの環境に適したサーフボードであるため、あなたのサーフィン環境に最適化はされていません。
サーフィンレベルとスキルも違えば、波質も違いますし、サーフィンの楽しみ方も違います。
このような違いを考慮しないで、ヒトが紹介するマジックボードを選んでしまうと失敗しやすくなります。
2. 初心者サーファーが避けるべきサーフボードの種類
本記事では、初心者サーファーがサーフボード選びで失敗しない方法を紹介していきます。
2.1 上級者向けのハイパフォーマンスボード
上級者向けのハイパフォーマンスボードは、車で例えるとF1カーのようなものです。
運転初心者がF1カーに乗ると危険ですよね。
同じようにサーフィン初心者が上級者向けハイパフォーマンスボードに乗っても、波をキャッチできなかったり、上達に時間がかかりモチベーションの維持が難しくなるのでオススメしません。
2.2 サイズが小さすぎるボード
長さが6'0"以下のサーフボードはショートボードと呼ばれていますが、初心者には向いていません。
サーフボードの長さが短いと、波キャッチの難易度も上がりますし、上達に時間がかかってしまいます。
3. 初心者サーファーに適したサーフボードの特徴
初心者サーファーに適したサーフボードの特徴をまとめていきます。
3.1 十分な長さを持つボード
そのヒトの身長と体重に合わせて選ぶ必要がありますが、自分の身長+40cm以上の長さのものを選ぶようにしましょう。
例えば身長が170cmの方であれば、210cm以上のサーフボードが適しています。
3.2 安定性の高いボード形状
初心者さんの場合、全体的に幅が広めのサーフボードを選ぶのがオススメです。
またノーズ側に幅が広いサーフボードだと、パドリングやテイクオフで安定しやすくなります。
3.3 丈夫で耐久性のある素材
初心者のうちは、ぶつけたりして壊れることが多いので、耐久性の高いEPSサーフボードや、ウッドスキンを採用したサーフボードがオススメです。
4. 自分に合ったサーフボードの選び方
では自分に適したサーフボードを選ぶ方法を見ていきましょう。
4.1 体格に合ったボードサイズの選択
- 身長で長さを選ぶ
- 肩幅で幅を選ぶ
- 体重でボリュームを選ぶ
自分の体格に合わせてサーフボードを選ぶようにしましょう。例えば身長170cmの方は210cm以上のサーフボードが初心者向けになります。
自分の肩幅から大きく幅が広いサーフボードだと、テイクオフの時に手を置きやすくなりますが、バックサイドをするときは腕を横に伸ばす必要があるので漕ぎにくくなります。
自身の体力、体重に合わせてボリュームを選ぶと、サーフボードが得られる浮力を想定できます。これが適正ボリュームと言われるものです。
4.2 スタイルに合わせてボードを選ぶ
- ショートボード
- ミッドレングス
- ロングボード
サーフボードのスタイルはヒトそれぞれあります。自分が乗りたいスタイルに合わせてサーフボード選びを行っていきましょう。
4.2 目的に合ったボードタイプの選択
- ハイパフォーマンス
- 小波で楽しむ
- スタイリッシュに楽しむ
サーフィンの目的に合わせてサーフボードを選ぶようにしましょう。それぞれ目的が違うため、マジックボードの概念は必要ありません。
4.3 予算に合ったボードの選択
- 予算をあらかじめ決めておく
- サーフボードのコスト感覚を身につける
- 性能や品質について知識武装をしておく
まずは自分の予算を決めてサーフボード選びを行うようにしましょう。またサーフボードは性能や品質よりもブランドや中間コストによって価格が高くなる傾向があります。
日本の場合、海外ブランドのサーフボードは輸入代理店がライセンスを購入し、そこからサーフショップなどの小売に卸し、最後にユーザーがサーフボードを購入するため輸送コストや中間コストが上乗せされています。
このようなサーフボードのコスト感覚を身につけておくと、サーフボードの予算も適正価格で考えられるようになってきます。
また、性能や品質についても様々な情報ソースから知識武装を行うことが大切です。
5. サーフボード選びの際の注意点
サーフボードは高額商品なため、何度も買い替えたりすることができません。
一度失敗してしまうと、また次のボードに買い替えるためには期間を要することがほとんどです。
中古市場も活発ではなく、粗悪品も多いため中古ボードを選ぶ時にも注意が必要です。
ここではサーフボード選びの注意点についてもまとめていきます。
5.1 宣伝に惑わされない
まずはサーフボードを売るための宣伝に惑わされないように知識武装を行いましょう。
マジックボードや神ボードは存在しないということを前提にするだけでも、宣伝に惑わされない知識武装ができている状態です。
5.2 中古ボードを購入する際の注意点
- 自分の体格に合っているか
- 自分のサーフィンスタイルに合っているか
- 壊れていないか
このような条件を用意してから中古ボードを選ぶと失敗しにくくなります。やってはいけないのが「価格」と「ブランド」だけで選ばないこと。
6. サーフボード選びに役立つ情報
サーフボード選びは競技のプロや上級者でも難しいものです。
また正解の基準が曖昧なため、サーフショップスタッフの知識差、シェイパーの知識差によっても意見がさまざまです。
ここでは現代でサーフボード選びに役立つリソースを紹介します。
6.1 カスタマーサポートの有無
最も失敗のないサーフボード選びは「メーカーのカスタマーサポートに直接お問合せをする」ことです。
なぜならメーカーは自社のサーフボードに関して、深い知識を有しているからです。
サーフボードブランドは、自分たちが作りたいサーフボードや、乗りたいサーフボードを作っているわけではありません。
そのボードを選ぶサーファーのサーフィンライフを向上させることを目的にサーフボードを作っています。
そうしないとユーザーに選んでもらえないからです。
ユーザーが喜ぶサーフボードの設計を考え、ライダーテストを重ね、ユーザーがサーフィンライフを向上できる!と確信できたサーフボードを市場に送り出しています。
そのため自社のサーフボードへの深い知識を有しているのです。
カスタマーサポートを用意しているサーフボードブランドを選ぶというのも、一つの選択肢となるでしょう。
6.2 オンラインのサーフボード選びガイド
- 口コミと評判が最重要
- どれだけユーザーにとって分かりやすい情報を作っているか
- 動画と写真を自社で撮影していること
オンラインのサーフボード選びは、何よりも口コミと評判を見るようにしましょう。Amazonレビューがなぜあれだけ重視されているかを考えてみてください。
また、ホームページがどれだけ分かりやすく、丁寧に文章化されているかも気にするようにしましょう。
専門用語が多すぎる、ブランドの宣伝文句を貼っただけのページも多いので注意が必要です。
最後に、動画と写真を自社で撮影していることも重要なポイントになります。
自社で撮影することでサーフボードの特徴やディティールを深く知ることができます。深い知識があるオンラインショップは信頼できます。
6.3 経験豊富なサーファーからのアドバイス
- 情報のアップデートに積極的であること
- 客観的な視点でボードの解説ができること
- ユーザー側の思いや特徴を考えられること
経験豊富なサーファーからアドバイスを求めるときは、上記の項目を満たしている経験者からアドバイスを聞くことが大切です。
しかし、サーフィン経験者のアドバイスは時として諸刃の剣になることがあります。
なぜなら、サーファー自身はサーフボードの知識を身につけることが難しいからです。
例えば、自動車を運転するドライバーが、車のメカニックの知識を持っていることはほとんどありませんよね。
だからこそ整備工場やディーラーが存在しています。
本記事を執筆している筆者もサーフィン歴20年以上ありますが、サーフボードブランドで働く前までは、サーフボードの知識は「なんとなく」でしか理解していませんでした。
7. まとめ:マジックボードとは何か?
- マジックボードはヒトそれぞれで違う
- マジックボードと出会うためには色んなボードに乗る
- サーフィンは自分軸で楽しむ
- サーフボードのことはメーカーに聞く
マジックボードはヒトそれぞれで全く違う!ということがご理解いただけたでしょうか?
マジックボードと出会うためには、いろんな形のサーフボード、色んな素材のサーフボードを乗り比べましょう。
と言ってもサーフボードは高額なため、乗り比べることは現実的ではありません。
そのためにテストを重ねているサーフボードメーカーがあります。
業界の宣伝文句に惑わされないように、自分軸で楽しむことを意識してください。
サーフボードについては、サーフボードメーカーのカスタマーサポートに聞くのがオススメです。
本記事があなたのサーフボード選びの参考になれば幸いです。